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離婚の財産分与 考え方と注意点
財産分与とは?
夫婦が結婚してから別居するまでの期間中に築いた財産は,実質的に夫婦二人で作った共有財産と考えます。
例えば「夫名義で買った住宅」のように夫の単独名義になっていても,結婚期間中に住宅ローンを払ってきたのであれば夫婦二人で作った共有財産であると考え,妻にも実質的に持分があると考えます。
財産分与とは,離婚のときに,夫婦の共有財産を清算して,二人それぞれの個人の財産に分けることをいいます。
妻が専業主婦で収入がなかったとしても請求することができますし,浮気など悪いことをした側であっても分与されるべき財産がある限りは請求できます。
財産分与の対象財産・非対象財産
財産分与の対象(すべて,結婚期間中に作ったものに限る)
・現金・預金
・株式,有価証券
・保険(積立て分・解約返戻金)
・不動産(下記参照)
・家具,家電
・厚生年金・共済年金の報酬比例部分
・退職金(下記参照)
・その他財産
・借金などマイナスの財産(下記参照)
財産分与の非対象
・結婚前から持っていた財産,別居した後に作った財産(多くの場合の考え方です。)
・相続して得た財産
・完全に私的な個人のもの(医療器具,服など)
財産分与の方法
財産分与の方法は,まず,財産分与の対象財産を金額で評価します。
それから,その金額が通常二分の一になるように,財産を分けていくのですが,具体的なわけ方は話し合いで決めます。
まず,ご自身と相手の財産についてリストアップしてみましょう。そしてそれらの財産の価値を評価して,相手と公平に分ける話し合いをして下さい。例えば,ローンを考えても500万円の価値がある不動産は妻のものとし,銀行預金500万円は夫のものとする,など。
財産分与の話し合いがつかない時は,弁護士に交渉を依頼したり,離婚調停をすれば離婚の条件の一つとして一緒に決めることになります。
各財産の価値についてどう考えたらよいのかわからないときは,弁護士に相談して下さい。
財産分与あれこれ
- 財産分与の割合
- 財産分与で分ける財産の割合は,近年ではよほどの特殊事情が無い限り二分の一ずつとします。ただし,夫婦の事情により割合が修正される場合もあります。財産形成に一方の貢献が大きくて,二分の一ずつでは不公平だと感じられるときは,念のため弁護士に相談して下さい。
- 財産分与の対象期間
- 結婚してから,通常は別居した時期までの期間に作った財産が財産分与の対象です。この間が,夫婦共同で財産を作った期間であると考えるからです。
例えば,預金であれば,別居した時点の預金額を基準に財産分与を考えます。
- 不動産
- 不動産の名義人から他方への財産分与をする場合,財産分与の取決めの後,法務局で「財産分与を原因とする登記」をすることが必要です。
池袋東口法律事務所では登記を扱う司法書士をご紹介できます。離婚と同時の不動産の登記移転の対応も可能ですのでお問い合わせ下さい。
- 住宅ローン残あり不動産
- 住宅ローンが残った不動産については,住宅ローンを組んだのがどちらか(あるいは両方か),離婚後にどちらが住むのか(あるいはどちらも住まないのか),住宅ローンの残高と住宅の価値のどちらが大きいか等によって財産分与の形が異なってきます。
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不動産の現在の価値より住宅ローンのほうが小さい(アンダーローン)場合,不動産を任意売却してお金にしてしまえば,それを半分で分ければいいので話は簡単です。そうではなく売却しない場合は,住み続けるほうが,価値の半分を相手に清算する形になります。
不動産の現在の価値より住宅ローンのほうが大きい(オーバーローン)場合,マイナスの財産としてどう借金を分けるかについて財産分与で考えることになります。
夫婦双方が保証人になるなどしていて支払い義務がある場合,夫婦が離婚するといっても,銀行はなかなか保証人から外してはくれないので,ローンをどのように負担していくかが話し合いのポイントになるでしょう。
もう住まない家であれば任意売却したり,自己破産などの債務整理をして支払い義務を免れた方が有利な場合があります。これは大きい問題です。不利な処理をしてしまうと,住まない住宅ローンを延々と払い続けることになったり苦労が続いてしまいます。
住宅ローンの残った住宅については状況によって対応が異なりますので,考えるよりも先にまずは弁護士に相談することをお勧めします。
- 借金
- ギャンブルなど自分一人の趣味のために作った借金ではなく,夫婦が共同生活をしていくためにした生活費などの借金であれば,借金もマイナスの財産として財産分与の対象とも考えられます。
もっとも,借金を財産分与するといっても,それはあくまで夫婦の間で負担をどうするかという話で,貸主からすれば請求する相手は借主のままです。
離婚で家計状況も変化が見込まれるでしょうし,借金問題を根本的に解決するには,財産分与より債務整理が適している場合も多いです。
(離婚と借金についてはこちらもご覧下さい。)
- 退職金
- 退職金は給料の後払的な性質がありますので,結婚期間中に積み立てた部分については,財産分与の対象と考える場合があります。
ただし,退職金は将来必ず支給されるものではないので,まだ若年で勤続年数も短い場合だと支給の見込みが少なく金額的にも少ないため,考慮しないこともあります。
退職金の財産分与の取決めでは,将来支給されたら何割支払うとか,今もらう代わりに少し少なめに考えるとか,話し合いの方向性としてはいくつか考えられます。
退職金の額を調べるには,勤務先に出してもらうか,勤務先の退職金規定から計算します。入手困難のときは弁護士が出すように相手と交渉したり,調停や裁判の中で提出させることになります。
- 相手の財産が不明のとき
- 離婚前提で別居を始めると,相手の財産状況がわからなくなりがちです。相手の財産がわからないと,そもそも何を財産分与するのかわからなくなります。
調査方法もないわけではないのですが,できるだけ,同居している間に,情報収集をしておくのが簡単です。通帳や保険の証書,自動車の車検証をコピーし,住宅ローンの契約書や返済計画票をコピーし,金融機関からの郵便物をチェックし,相手にへそくりがないか探しておくとよいでしょう。相手の勤務先の情報や,給与振込先口座の銀行・支店名も把握しておいてください。
高級時計や宝飾品などの高価品については写真を撮り型番をメモしておくとよいでしょう。
- 財産分与の時効
- 既に離婚している場合,財産分与の権利は離婚後2年で時効になり,請求ができなくなってしまいます。
離婚して時間が経っている方は,急いで弁護士に相談して下さい。
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